
イモビライザーなんていらない!?
自分の車にイモビライザーがついているかどうか分からないけど、「古い車で盗まれる事無いし要らない!」「よく分からないので要らない!」「その機能を止めてもらっても良い?」といったことをお願いされることがありますが、大前提として「こちらの意思でイモビライザーを無効にしたり作動させたりなどの切り替えは出来ません。車両の中の複数に関係するコンピューターでイモビライザーの有無は管理されていますので、コンピューターを外したらそもそも車を動かすことが出来ません。イモビライザー搭載車であれば素直にICチップの登録ができた鍵を使う必要があります。では、ICチップの登録が必要な事が分かったとして、「自分の車にイモビライザーが搭載されているのかどうか?」という疑問が生まれてくると思います。今回は例として、令和6年に発売されたダイハツ・タントを見本に説明します。



例えにあげたダイハツ・タントですが、エンジン始動方法によりイモビライザーの搭載が分かるようになっています。古いタントでもプッシュスタート方式ならイモビライザーは搭載されていますし、逆に新しいタイプであったとしても鍵を挿し込んで回すシリンダー方式の場合は、イモビライザーは搭載されていません。重要なのは、これはあくまでもタントの見極め方ということです。同じ軽自動車のスズキ・ワゴンRだと、エンジン始動方法にかかわらず、2008年(平成20年)以降の車であれば全車標準搭載となりますので、エンジン始動方法よりも年式が重要となってきます。タントと同じダイハツ車でもダイハツ・コペンの場合、シリンダー方式でもイモビライザーは搭載されているケースもあります。必ずイモビライザーが搭載されていると断言できるケースは意外と少なく、「メーカーかかわらずプッシュスタート方式」「レクサスの各シリーズ」という事くらいになります。

イモビライザーと間違いやすい機能
キーレス付きの鍵だからイモビライザーが搭載されていると誤った判断をされている方が多いですが、キーレスキーはドアの開け締めを便利にする機能で、エンジン始動の制御をしているわけではありません。混乱の原因の一つに、イモビライザーと似ている名称で「盗難警報装置:セキュリティアラーム」というのがあります。キーレスキー(リモコンの機能)で施錠をすると、自動的に警報装置が警戒モードとしてセットされます。この警戒モード中に鍵穴に直接鍵を差し込んで開錠してしまうと、数秒後にハザードが点滅をはじめ、クラクションが鳴り始めます。施錠時にはリモコン機能を使っているにも関わらず、開錠の時には直接鍵穴から開錠したため、車両側がピッキング開錠(不正開錠)を警戒しアラームを鳴らしています。アラームの解除方法は車種ごとに異なります。



トラブル防止のため、車種の問診にはご協力下さい!
車の鍵を全てなくした場合、ゼロから鍵を作製しないといけませんが、12,000円から25,000円程度が作製料金の相場となります。問題は、イモビライザーが搭載されている場合、「鍵に入ったICチップ」と「車内にあるコンピューターへの登録」が必要となりますので、追加で30,000円程度が発生します。先ほどの例えでいくなら、友達の新しいタントは12,000円で出来たのに、自分の古いタントは42,000円かかっておかしくないか?出てくる言葉は「このぼったくり~!」となってしまいます。しかし、先ほども案内したように同じタントでも、違うんです!イモビライザーがあるとエンジン始動が出来ないんです!もちろん、現地でいきなりこの金額を聞かされば誰でもそう言ってしまいます!トラブルにならないようにするため、電話の段階で状況を問診させていただき、きちんとご理解いただいたうえで、正確な見積もりを出させて頂く必要があります。「古い車の鍵なんだけど、いくらで作れる?」そんな質問だと「12,000円からとなります」といった曖昧な返事しか帰ってこず、「12,000円からと言われたのに実際は42,000円取られた」となります。急なトラブルでパニックになっているのも分かりますし、少しでも早く解決したいという気持ちは分かります。分かりますが、一度冷静になっていただき、担当からの問診には、わかる限りお答えいただき、少しでも事前案内と齟齬が生じないようにご協力をお願いします。
鍵に入るICチップ
イモビライザーの説明で出てくる「鍵に入ったICチップ」ですが、1種類だけではありません。5種類・10種類というレベルでもなく、数え切れないくらい非常に沢山あります。そのチップは鍵本体に内蔵されているものもあれば、チップ単独で鍵のケースに後から入れれるもの、リモコン基盤の中に内蔵されているものなど様々ですし、プッシュスタート方式であればスマートキーの中に電子基板が入っています。更に見た目が同じでも扱われている周波数が異なるものもあります。例えばご自身の車がイモビライザー車と分かったとしても、どのチップが使われいる車なのかによって、使われる部材は異なってきますし、ICチップの作り方も変わってきます。使われる部材ややり方が異なるということは、見積もりが変わってきます。どのチップを使うのか作業実績が豊富な鍵屋のほうが正確な見積もりを出せることは言うまでもありません。






車内にあるコンピューターについて
イモビライザー搭載車の鍵を紛失した場合、ディーラーに相談すると「車内にあるコンピューターの丸ごと交換」を案内されます。コンピューターにはイモビライザー以外の情報もたくさん入っているため丸ごと交換となると、非常に高額となります。クラシトキー含め鍵屋の作業では、コンピューターを交換するのではなく、今あるコンピューターのデーターを編集し、新たに用意する鍵をその車で利用出来るようにキープログラミングを行うことが出来ます。では、今回の着眼点はどこかというと、車内にあるコンピューターがどこにあって、どうやってそのコンピューターにアクセスするのかが車種によって異なってきます。OBD装置からアクセスできるものあれば、車内の奥深いところにあるコンピューター基盤を直接編集しないといけない場合もあります。基盤から行う場合は、コンピューターを取り出すだけでも大仕事となります。そして特筆すべき点として、紛失ではなくスペアキー(予備キー)作製時に限りますが、鍵屋独自の技術で「クローン」が出来るものがあります。本来登録本数が決まっている鍵でも増設可能です。ただし、クローンが出来るタイプの車種がごく一部に限らているという大きな欠点もあります。クローン・OBD・基盤編集どのタイプで出来るかによって大きく見積もりが変わります。



正確な電話見積をうけるための工夫
スペアキーを作る場合は、車検証の情報が見えるところでかけていただくとスムーズです!ただ、車検証の情報だけではエンジン始動方法が分かりませんので、エンジン始動方法も必ず教えて下さい。問題は、車の鍵を無くした場合です。車検証や任意保険などの証書が車内にあるまま鍵が閉まっているケースの方が多いとおもいますので、分かる範囲で答えて頂く必要があります。「車の事は詳しくない!」と一蹴されることがありますが、詳細ではなくても先程のダイハツ・タントの例のように、車種とエンジン始動方法だけ教えていただくでも、イモビライザー搭載の有無が判断できる情報となることは多いです。公式LINEを取り扱っている鍵屋も増えてきましたので、写真で見てもらうのも解決への早道です。情報はあればあるほど正確な見積もりを出すことが出来ます。見積の基本的な考え方は、「鍵の形状」+「イモビライザー登録の方法」+「利用する部材」+「出張費」となります。

中古スマートキーなどの再利用
スペアキー希望の場合に、スマートキーやカードキーをご自身で用意するのでそれを登録して欲しいとお問い合わせをいただく事もありますが、ディーラーで未登録の新品のものをご用意されるのと、ヤフオクやメルカリで仕入れた中古のスマートキーやカードキーを持ち込みするのでは状況が異なるケースがあります。車種によっては新品しか再登録出来なかったり、中古キーのシステム登録のほうが逆に費用の総額が高くなってしまうケースもあります。※中古キーは車の年式や型式・グレードなど以外にも、持っている登録機材によっても対応可否が変わりますので、ご準備頂く前に実際に対応するエリアの担当者に直接お問い合わせ下さい。


